経営法務
経歴書のウソを暴く(大学や前職に対しての弁護士会照会など)
しかし、入社直後から、職歴に見合う能力が無かったり、無断で社有車を使用するなど社内ルールを破ったりと、優秀な経歴が本当か首をかしげたくなる出来事が続きました。最近では、会社PC内に残された公的機関へ提出する書類のファイルに、経歴書と異なる記載があるのを偶然に発見しました。
経歴詐称なら解雇したいと考えているのですが、Aの経歴を調べることはできないでしょうか?
大学や前職に対して弁護士会照会を行うことで、経歴書のウソを暴くことができる場合があります。
1.経歴書にはウソが多い
最近、地方自治体の首長が経歴詐称をしたという事件がありましたが、誰も調べないだろうと思って、ウソの経歴書を堂々と提出する人物は少なくないです。
私が過去に携わった事件でも、有名大学を卒業し上場企業に複数勤務したという経歴書を堂々と提出しているのに、調べてみたら全て偽の経歴だということが分かったことがありました。
2.経歴書の記載は重要
釈迦に説法ですが、採用時に応募者の経歴を点検することは非常に重要です。有名大学を卒業していれば、基礎的な能力が高いと判断できますし、上場企業に勤めていれば、しっかりと社内教育を受けてきただろうと推測できます。1つの企業に長く勤務していれば、すぐには退職しないだろうと安心できます。
このように経歴書の記載は重要な意味を持ちますが、その内容が真っ赤なウソだったら、むしろ危険人物を採用してしまうことにもなりかねません。
したがって、面接時には慎重に経歴書の内容を吟味するべきです。さすがに、学位記や、前職の在職証明書を出せ、とまでは言いにくいため、面接時に口頭で確認するしかありませんが、前職の勤務状況や、学生時代の活動について多角的かつ詳細に尋ね、不自然な点、違和感がないか、色々尋ねていただくとよいでしょう。できれば聴取内容をメモし、保存しておくと良いです。
3.経歴書の記載が本当か確かめる
経歴書の記載に疑念が生じたら、本人に直接問い質してみるのも悪くありません。面接時に確認したことも含めて本人に真偽を詳細に聞き取ると自白するケースもあるかもしれません。いずれにしても聴取の際には録音をとっておくのが無難です。
問い質してもウソを通す者は多いですが、その場合は、懲戒解雇等も視野に入れて弁護士に依頼すれば、大学や前職に弁護士会照会を行い、経歴書のウソを暴ける場合があります。
私自身の経験では、大学や前職に照会してみたところ、当該人物がいずれにも在籍していなかった事実が証明できたケースが何件かありました。また、その人物が前職でも問題を起こし解雇されていたことが判明したケースもあります。
4.まとめ
以上、大学や前職に弁護士会照会を行うことで、経歴書のウソを暴くことができる場合があります。労務問題は慎重に手続きを進める必要がありますので、疑念が生じたら、慎重に調査を行って頂きたいものです。
月刊東海財界2025年12月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。
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