労働紛争
残業代請求への対応
最近,残業代を請求される事案が増えてきたと聴いていますが,注意すべきことはありますでしょうか。
無闇に手当をつけない
残業代は,(基礎賃金÷所定労働時間)(=時給)×時間外労働時間×1.25という計算式で算定されます。
多くの会社では,残業時間が多い従業員に対し,残業代を払わない代わりに,「職務手当」「営業手当」等の手当をつけています。
しかし,これらの手当をいくら支払っていても,その分,未払残業代が減るわけではありません(但し,就業規則や手当の名称等で,明確に,残業代に充当する趣旨で支給していれば,未払残業代に充当されます。)。
そればかりか,手当の分だけ上の「基礎賃金」が増えて,支払うべき残業代がかえって高くなってしまう結果になります(上記式を見て頂ければ「基礎賃金」が高くなると時給が高くなってしまうことがご理解頂けると思います。)。
よって,無闇に手当をつけないようにする必要があります。
手当をつけるとしても,~時間相当の残業代として支払うものであることを明示して支払うようにするべきです。
なお,一定額を残業代として支払う定額残業制というものを導入する場合は,労働条件の切り下げになり,無効となる可能性もあるため,よく社労士さんと相談して導入を進めて頂きたいと思います。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。