労働紛争

労働組合との団体交渉その2

【労働組合との団体交渉その2】
最近,当事務所の相談で,労働組合が労使間紛争に関与し,団体交渉を申し入れてくるケースが増えてきています。
そこで,労働組合との団体交渉にあたって,経営者側が知っておくとよいことを分かりやすくお伝えしたいと思います。

【知っておくとよいこと】
5 組合が言ってきたことに全て応じなければなりませんか?
なお,団体交渉に応じる義務があると言っても,それはあくまで交渉のテーブルについて話をすることまでを意味します。要求内容に応諾できないならば,きっぱりと断っても構いません。
労働組合の迫力に押され,いったんできない約束をしてしまうと,後日,撤回できなくなってしまいます。
合意が強制されているわけではないので,冷静に検討した上で決断して頂きたいと思います。

 

6 ずっと団体交渉に応じる必要がありますか?
団体交渉に応じる義務があると言っても,何十回でも団体交渉に応じなければならないのでしょうか。
もちろん,そんな必要はありません。
ただ,何回団体交渉を行えばいいか,回数で決まるわけではなく,交渉事項や交渉経過によって,これ以上団体交渉を続ける必要があるか否か判断されます。
たとえば,3,4回交渉していても,使用者側が一切資料も出さずに一方的な主張を繰り返して議論にならないようなケースでは,形式的に回数を重ねていても,更に団体交渉に応ずる義務があると言えましょう。
また,論点がいくつもあり複雑な事項が交渉の中身になっているものについては3,4回の交渉では足りない場合もあるでしょう。
結局は,お互いの主張を出し尽くし,議論を重ねてもなお両者の溝が埋まらないような平行線の状態になったならば,十分な交渉が行われたということで使用者が団体交渉を拒否してもかまわないと言えます。

 

7 争議行動をすると言われたら
交渉が頓挫し,あるいは頓挫しそうになると,労働組合側から,争議行動を行う,と宣言されることがあります。
「争議行動」とは,たとえば,ストライキ,一斉残業拒否,ビラ配布や演説などの街頭宣伝等が挙げられます。いずれも使用者には打撃ですが,正当にやられる限りは,民事責任や刑事責任を追及できません。
街頭演説などは,客商売だと大きなイメージダウンにつながりますので,まずはこれを回避すべく,柔軟に交渉を行うべきです。回避できないことが明らかな場合でも,事実に反する記載・発言が無いよう,内容証明郵便等で申入れを行うなどの対応は最低限必要であろうと考えます。

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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