労働問題の解決事例:労働災害 記事一覧
依頼者:加工業を営む株式会社
相手方:従業員
数年前、会社役員から当該従業員に対してセクハラ行為がありましたが、会社と当該従業員との間では示談をしていませんでした。
セクハラ行為の前後から、当該従業員は毎月数日は私傷病で休業することが続きましたが、令和4年5月頃になって、精神疾患を理由として、連続して休業するようになりました。
1か月が経過し、復職をする気配が無いことから、会社としては、従業員を解雇したいと考え、相談にみえました。
解決内容
セクハラ行為については、会社役員からされたことは事実であったため、示談金をどうするかについて、当該従業員と折衝を行いました。その結果、従前会社側で提示していた金額で和解することができました。
次に、退職に関しては、当初当該従業員は辞めたくないということでした。しかし、精神疾患の理由が特に会社に非がないものであることであったり、それ自体、精神疾患となるような出来事とは認め難いことから、長期休業は解雇の理由となり得ると説明しました。
そうしましたところ、当該従業員は、上記和解金を速やかに支払うことを条件として、退職に応じるに至りました。
依頼者:3次下請業者
相手方:元請、従業員
3次下請業者の従業員が仕事現場における火事で大けがを負いました。当該従業員の遺族が、元請会社と3次下請業者にかかる労災事故について損害賠償を請求しました。
その後、遺族は、元請会社のみを訴えたのですが、元請会社から3次下請業者に対して訴訟告知がなされたために、3次下請業者は訴訟に参加することになりました。
3次下請業者は、元請会社との責任分担について争いになったため、当事務所にご相談にみえました。
解決内容
火災を発生させた直接の当事者は当該従業員であったため、
1.従業員の過失を考慮した損害賠償額の減額、
2.元請会社と3次下請業者とで責任をどう分担するべきか、が問題になりました。
「1」については裁判の中で、従業員にも一定の過失があるため、3割程度の過失相殺が認められると裁判所から心証開示がありました。
「2」については、元請会社において、火災予防について十分に配慮するべき事情があった(火気の取り扱いについて元請が責任を持つという文言あり)ということで、2:1で元請会社の責任が重いという前提で和解することができました。
依頼者:物流会社
相手方:被災労働者(正社員)の相続人(妻)
従業員のガントリークレーンの操縦ミスにより、被災労働者が、同ガントリークレーンにより持ち上げられたコンテナと、別のコンテナとの間に挟み込まれ、受傷・死亡しました。
その後、遺族の方と民事賠償の交渉が始まり、提示額や、交渉の進め方等について、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
なお、弁護士を前面に出さないとの会社の方針で、当事務所は、直接相手方と交渉を行うことはせず、適宜、提示額や交渉の進め方について相談を受け、示談書の作成を行いました。
解決内容
主な争点としては、①事故発生には被災労働者の過失もあったのではないか、②労災保険給付との関係で支払いが猶予される金額について、③労災保険給付を受けた部分との調整(損益相殺)について、の3点でした。
①については、被災労働者もガントリークレーンの動きを確認せずに危険な場所に立ち入ったことを主張し、被災労働者に2.25割の過失が認められました。
②については、遺族が年金給付を受ける権利が消滅するまでの間、使用者(会社)は年金給付の前払一時金の最高限度額の限度で、損害賠償の支払いを猶予される旨を主張し、これが認められました。
③については、労災保険から支給された葬祭料が、葬儀費用にかかる損害額から控除されることを主張し、これが認められました。
継続的に法的なアドバイスを行い、事故発生から7か月ほどで示談が成立しました。
依頼者:派遣会社
相手方:正社員
従業員が、業務中に歩行していて転倒し、足を受傷して長期の休職をしました。その後、労災認定で後遺障害10級が認定されました。
その後、労働組合から、1000万円を超える損害賠償請求に応じるように団体交渉の要求がありました。
そこで、会社の方が団体交渉に強い弁護士をということで、当事務所にご相談にみえました。
解決内容
争点としては、①後遺障害10級に相当する後遺障害が本当に認められるのか、また後遺障害があるとしても、それは別事故が原因ではないか、②転倒は労働者にも過失が大きかったのではないか、という2点でした。
①については、他の従業員の証言等から過去に別事故が存在した事情を明らかにすると共に、診断書から、10級が必ずしも強固な証拠によって裏付けられていないのではないかと主張しました。
②については、他の労働者が転倒するような場所ではなかったこと等を主張して4割程度の過失相殺が認められると主張しました。
4回ほど団体交渉を行い、最終的には、請求額の4割程度で和解することができました。
依頼者:建設会社
相手方:労働者
相手方は、元従業員です。
相手方は依頼会社に勤務していたときに、工事現場で足を車両にひかれてしまい、足に後遺障害が遺りました。
車両を運転していたのは、下請業者の従業員でしたが、依頼会社のみが安全配慮義務違反で訴えられました。
解決内容
下請業者の従業員が加害者だということだったので、下請業者も訴訟に参加してもらいました(訴訟告知という手続を使いました。)。
その結果、損害を下請業者にも分担してもらうことができました。
また、相手方にも過失があったことや労災給付金を控除することによって、損害賠償金を減額することができました。
依頼会社の最終的な負担額は請求額の4分の1程度となり、助かりました
依頼者:派遣会社
相手方:派遣労働者
派遣労働者が派遣先で右腕を切断するという重大事故を発生させました。
派遣労働者は勤務していた愛知県一宮市内の会社に対して損害賠償請求をし、会社の代表者から弁護士の関与が不可欠とのことで示談交渉の依頼を受けました。
解決内容
依頼会社は、労災の対人賠償責任保険に加入していたので、保険会社と連携して事案に対応することができました。
まずは、保険会社に事故の調査を委託し、事故の原因を把握しました。
そのうえで、労働者と折衝を行い、労働者側にも事故の過失があったと主張して、500万円以上損害賠償額を減額しました。
さらに、派遣先に主たる責任があるということで派遣先と責任割合を折衝し、派遣元1:派遣先9の割合で和解することができました。実質的な依頼会社の負担はほとんどゼロとなり、円満に示談解決ができました。
依頼者:産業廃棄物処理場を運営する会社
相手方:労働者の妻
労働者が産業廃棄物処理場で、別の労働者が運転する重機にひかれて死亡しました。
当該労働者の妻が会社に対して損害賠償請求訴訟を提起してきましたが、金額が5000万円を超えるため、社長が相談にみえました。
解決内容
訴訟活動の中で、労働者側の過失が大きいことを主張しました。
具体的には、動いている重機の近くに不用意に近付いたこと、当該労働者はベテランで、現場の危険性を十分に理解していたこと、特別な目的があってその場所にいたわけでも無いこと、等を主張しました。
その結果、裁判所も労働者側にも一定の過失があったとして、1割5分の過失を労働者側に認めてもらえました。
結局、裁判所から和解勧告をしてもらい、その内容で和解することができました。